お知らせ

令和6年能登半島地震に際して

令和六年能登半島地震罹災犠牲者のお一人おひとりに対し、衷心より哀悼の誠を捧げます。
そして不慮の被災により大切な方を失いまた不自由な生活を余儀なくされて居られる多くの方々お一人おひとりの心の平安と一刻も早い生活の復興のために心からご祈念申し上げます。
ようやくの思いで長かったコロナ禍が明け、昨年当会では東日本大震災の十三回忌の法要と慰霊行脚を挙行致しました。そして来年は阪神淡路大震災から30年。第二次世界大戦から戦後80年という節目を迎えようとしていた折も折の大災害に大変心を痛めております。

昨年の大晦日。日本各地では煩悩を払い心穏やかに新年を迎えるべく除夜の鐘が撞かれ、各神社仏閣及び他の宗教施設に於いても真夜中又は未明から新年行事が厳修され、今年も無事に年が明けたと眠い目をこすっていた矢先にスマホから地震速報を立て続けに知らされました。「震度7」とはもはや災害級の揺れのはずで、私の住まう大阪でも地面が船上の様な目眩にも似た揺れが体感されました。それは東日本大震災の発生時もそうであったため、尋常ならざる危機感を覚えた事でした。

阪神淡路大震災発生は1995年で当時は個人が使えるインターネットも無く、情報と言えば直接聞くかテレビ・ラジオや新聞などでしたが、その年の暮れにようやくインターネット機能が使えるWindows95がリリースされ、そこから29年かけて現在のネット環境が整い、個人レベルでの情報収集が格段にやり易くなりました。

当会でも先ずはネット情報を漁り、各加盟団体からの情報を頼りに今できる事を探しました。そして思いの外被害が大きく道路などのインフラも寸断されて駆けつける事が出来ない状況と知り、気持ちばかり焦っておりましたが、警察・消防・自衛隊や医療機関の方々は取るものも取りあえずいち早く駆けつけられそれぞれに活動を開始されたと聞きます。

中には矢も楯もたまらず現地に赴き活動を始めながら情報発信される僧侶も居られます。
しかし日頃から人命救助の為の訓練を積んでおられる専門家ではなく「一般車両進入禁止」「外部からのボランティア受け容れ目処が立たない」と聞き多くの心ある僧侶は情報を睨みながら忸怩たる想いで日々を過ごして居る事と思います。
しかしながら、我々は「宗教の専門家」として今自分に出来る事を行うべきで、それは何より「祈り」であり、現地に入れる時が来た時のために連携を取り迷惑をかけないように準備をする事です。

この不慮の震災により貴い命を失われた方、普段の生活を奪われ不安な日々を過ごして居られる方にそれぞれの法式で供養と祈願を修し、義援金托鉢等で寄進を募り、近い将来現地に赴き心のケアをするため精進致しましょう。

避難生活をされて居られる方々に対して、日本中や世界中の宗教者からの心からの祈りが届き、神仏のご加護があります様に。合掌

全日本仏教青年会 理事長 新井順證